エアコンの中を流れる「冷媒」。この「冷媒」を循環させているのが圧縮機、言うなればエアコンの心臓部です。
液体や気体は、高圧のところから低圧のところへと流れる性質を持っています。この性質を活かし、圧縮機では「冷媒」を圧縮して高圧にし、エアコンの中を循環できるようにしているのです。そして、この圧縮機の効率を高めれば高めるほど、冷・暖房能力を大きくでき、省エネにもつながります。
現在、圧縮機には大きく分けて2つの方式があり、最も進んだカタチと呼ばれているのがスクロール方式です。
ロータリー方式 | スクロール方式 | |
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特長 |
ローラーの回転運動で吸入→吐出を繰り返して行う方式。
ローラーの回転時に力がかかるところの差が大きく、低速回転になると回転ムラが起こりやすくなります。 |
固定スクロールと旋回スクロールの2枚の渦巻き羽根がなめらかな回転をして吸入→圧縮→吐出の行程を同時に無理なく行います。
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効率 | 圧縮室の差圧が大きく圧縮ガスが漏れやすい | 圧縮ガスの漏れが少なく高効率 |
振動 | 低速時に回転ムラがあり、振動が起こる | 動きが小さいので低振動 |
騒音 | 吐出弁の開閉の音が気になる | 吐出弁がないので低騒音 |
(当社比)
圧縮機の仕事を一言でいえば、低圧になった冷媒を高圧にしていること。これがどうして冷媒のエネルギーになるのかは、バネに例えれば簡単。低圧の冷媒は伸びきったバネの状態。これにエネルギーを与えるためにはバネを縮めるのと同じで、冷媒を高圧にして縮めて、勢い良く循環できるようにしているのです。
このスクロール方式の圧縮機を、日立は1983年に世界で初めてパッケージエアコンに搭載しました。この静かさ、低振動、効率の良さは、新しいエアコンの歴史を切り開く技術だったといえます。