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チャレンジャー's VOICE 衣類を長くきれいに着られる洗濯機を。

大林 史朗(おおばやし しろう)
ホームソリューション事業部 生活家電本部 開発センタ 統括主任技師

「洗浄力のビートウォッシュ」としてタテ型洗濯機を牽引してきたこの1台が
いま新しい角度で進化を遂げた。衣類を長もちさせたい。お客さまに喜んでいただきたい。
そんな思いから生まれた「衣類長もち ナイアガラビート洗浄」とは? 開発者に聞きました。

やさしく、しっかり洗う。「二刀流」をはじめはみんながムリだと思った。

「洗浄力のビートウォッシュ」が今回、新しいチャレンジをしたわけですが、その経緯を教えてください。

何度も洗えば衣類も傷んでくる。
そんな当たり前をくつがえす挑戦へ。

ここ最近、サステナブルをキーワードにいろいろなサービスや製品が開発されています。社内でも、衣類を長もちさせたい、布傷みを低減させたい、という声が上がっていました。
しかし、タテ型洗濯機の洗浄方法は洗濯槽底面の回転羽根をまわして、回転羽根と衣類との摩擦で洗浄力を向上させることがメイン。当然ながら摩擦は衣類を傷めてしまいます。衣類の摩擦を抑えながら、日立の強みである高い洗浄力も。この両立というか二刀流は、とてもむずかしい。
単純に衣類の傷みを低減するコースとしてデリケートコースやおしゃれ着コースというのがあリますが、これらのコースは洗浄力をちょっと抑えめにしているんです。

気に入っている服って、繰り返し着るから
何度も洗うことになりますよね?

そうなんです。それにお気に入りの衣類は人それぞれ。おしゃれ着やデリケートな衣類だけじゃない。例えばお気に入りのTシャツが長もちすれば、お客さまもうれしいはず。標準コースで、ふだん着をやさしくしっかり洗うことができるビートウォッシュを世に出したい!と思いました。

何度も洗えば衣類も傷んでくる。そんな当たり前をくつがえす挑戦へ。

高濃度洗浄の進化と、回転羽根の変更。

高い洗浄力はそのままに布傷み低減へ。
今回、どの部分を進化させたのでしょうか?

はじめに日立の洗浄方式の特長である「高濃度洗浄」をなんとか進化できないかと考えました。高濃度洗浄とは、少ない水で洗剤を溶かして、高濃度の洗剤液をつくり、衣類にすばやく浸透させて汚れを浮かび上がらせるやり方です。洗い始めに洗剤液が高濃度であることで、衣類への浸透や汚れへの吸着の活性化が期待できます。この「高濃度洗浄」を進化させるために、これまでよりもっと洗剤液を早くまんべんなく衣類に浸透させたい。

今回、回転羽根の中央にも水の通り道を新設。
洗剤液がさらに循環しやすく。

そこで、洗剤液を洗濯槽内で循環させる経路として、底面の回転羽根に着目。回転羽根の中央に循環流路を設けて、洗剤液の循環効率をアップさせたんです。これは苦労しましたね。さらに苦労したのが、回転羽根の表面形状の変更です。

高い洗浄力をキープした上での
布傷み低減へのチャレンジ、ということですね。

回転羽根の凹凸を何度も調整して検証を繰り返した。

回転羽根の微妙な角度調整で泣き笑い?!

洗浄力の方はメドが立ったと。
そこで、回転羽根の変更で布傷み低減を?

衣類の傷みを低減するには、回転羽根と衣類との摩擦を集中させないこと。つまり衣類を大きく入れ替えることが必要だと判断しました。衣類の入れ替えを促進する形状を検討したんです。回転羽根の負荷トルク(回転羽根を回す力)の解析なども社内の研究所と協力して実施。思うような動きになるまでは表面凸部の角度や高さを手加工で調整し、試行錯誤を繰り返しました。

洗濯テストを何度も繰り返し、傷み度合いを検証した。

両立できたのは、すごいことですよね?

検証に検証を重ねてたどり着いた回転羽根により、しつこい汚れまで落とす洗浄力はそのままに、色あせやほつれを防いで布傷みを低減できた。さらにこの「衣類長もち ナイアガラ ビート洗浄」では、洗い時間を短縮※1できたことも、うれしく思っています。

※1 2021年モデルBW-X120G、洗濯目安時間43分(標準コース)と、2024年モデルBW-X120K、洗濯目安時間35分(標準コース)との比較。一般社団法人 日本電機工業会自主基準「洗濯性能評価方法」によるものです。

お洗濯で、気持ちのいい毎日をあたりまえに。

大林さんが手がけたビートウォッシュ。
どんな人に届けたいですか?

高い洗浄力のまま、布傷みを抑えて洗えるのは、日々のお洗濯で大きなメリットになると思っています。このビートウォッシュなら、皮脂汚れや泥汚れをしっかり落として、お気に入りの衣類が長く着られる。しかも短い時間で洗えるので、いろんなライフスタイルに対応できるはずです。気持ちよくお洗濯をしながら、衣類も時間も大切にできる毎日が、お客さまのあたりまえになってくれるとうれしいですね。

ビートウォッシュの進化はこれからも。開発者の挑戦は続きます。