飛田 達成(ひだ たつのり)
ホームソリューション事業部 生活家電本部 第一設計部 主任技師
アイロンがけの手間を減らしたい、という思いから「風アイロン」が生まれたのは2007年のこと。
多くのお客さまにご愛用いただいてきたこの乾燥機能が、いま驚くべき進化を遂げた。
風アイロンとヒートポンプ式の両立を実現。
新しい「らくはや 風アイロン」はどのように誕生したのか。開発者に聞きました。
確かに日立の強みである「風アイロン」を搭載したヒートポンプ式ドラムを出せない期間がずっと続いていました。冷蔵庫やエコキュートなどでヒートポンプの技術を持っていたにもかかわらず、です。理由は、高速風を必要とする「風アイロン」に対して、「ヒートポンプ式」は高速風より大風量を作り出すのが得意な乾燥方式。風速を出そうにも、お手入れが必要な乾燥フィルターによって風路ロスが発生し、消費電力も大きくなってしまう。ヒートポンプの“省エネ”というメリットを打ち消すことになってしまうんです。
はい。「らくメンテ」を開発したことで乾燥フィルタ―の役割を洗濯機内部に収納できるようになったんです。これにより、洗濯機内での風速のロスがなくなり、ヒートポンプ式で高速かつ大風量の風を実現。これまでと同じきれいな仕上がりを省エネ※1しながら叶えました。それがヒートポンプ式の「らくはや 風アイロン」です。
らくメンテ未搭載機種の乾燥フィルター。
これがなくなったことで乾燥の進化に拍車がかかった。
※1 ヒートポンプ非搭載2022年モデルBD-STX120H(洗濯~乾燥6kg時)約1,570whとヒートポンプ搭載2023年モデルBD-STX130J(洗濯~乾燥7kg時)約1,150whとの比較。 ※データは一般社団法人 日本電機工業会・自主基準「乾燥性能評価方法」によるものです。
らくメンテ未搭載機種の乾燥フィルター。
これがなくなったことで乾燥の進化に拍車がかかった。
除湿力が高いヒートポンプ。風アイロンに強い味方が加わった。
従来の、水道水を使って除湿する水冷除湿方式では、ヒーターによって温めた空気を衣類に吹き付けて水分を除去するのですが、高温なので、ある意味、非常に効率の良い乾燥方式でした。しかし、除湿は水道水の温度に影響を受けやすく、除湿力に課題があったんです。
それに対してヒートポンプ式の乾燥は、除湿力が高く、槽内は低温でカラッとした空気になっています。じめっとした梅雨や、ムシムシとした暑い日でも、年中安定した乾燥を叶えることができます。
前方の吹き出し口から衣類に風を直接届ける。
はい。シワを伸ばしてふんわりとした仕上がりはもちろん、さらに、従来よりも洗濯から乾燥までの時短※2も実現しました。お洗濯の時間が早く終われば、それだけ自分の時間、家族の時間を多く持てますからね。
※衣類の量や種類、使用環境により運転時間が異なります。
※2 2022年モデルBD-STX120H、洗濯~乾燥6kg時、標準コース約98分と、2023年モデルBD-STX130J、洗濯~乾燥7kg時、標準コース約93分との比較。 ※データは一般社団法人 日本電機工業会・自主基準「乾燥性能評価方法」によるものです。
らくはや 風アイロンで乾燥すると、仕上がりもふんわり。こんなに違う。
※2023年モデル BD-STX130J(洗濯後の衣類4.5kgを天日干し)と(洗濯~乾燥4.5kg時、標準コース)との比較。※衣類の量や素材、一緒に乾燥するものの種類によって仕上がりが異なります。
ドラム式を選ぶ人は、やはり“乾燥“を重視しています。“時短” “省手間” といったニーズはもちろん、エネルギー価格の高騰などで省エネへの関心も高い。お客さまの期待に応えていくためには、この「風アイロン」と「ヒートポンプ」の両立は欠かせない。乾燥性能を進化させることができて、うれしく思っています。
日々の生活や、その日の気分って、お洗濯の仕上がりでちょっと変わると思うんです。気持ちのいいお洗濯が日常になり、洗って乾燥したあとの仕上がりのことを心配しなくてよくなる。そんな幸せを届ける洗濯機の開発を、これからもしていきたいと思っています。