※アリエールMiRAi高濃度洗浄コースは、日立GLSとP&Gが共同開発しています。
左: 北 慎勇希 (きた のりゆき) 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 ホームソリューション事業部 生活家電本部 開発センタ 技師
右: 廣瀬 貴史 (ひろせ たかし) P&Gイノベーション合同会社 研究開発本部 ファブリックケア ランドリー事業部 ディレクター
洗濯洗剤と洗濯機。日々のお洗濯を支えるこのふたつが共同で、
さらなる汚れ落ちにチャレンジ。洗剤のチカラを引き出す新コースが誕生した。
日立GLSとP&Gの共同開発はどのように生まれたのか。
食べ物の油汚れに強い「アリエールMiRAi高濃度洗浄」コースとは? 開発者に聞きました。
※日立よりP&Gにインタビューの掲載内容チェック依頼をし、P&Gのコメントをあらかじめ日立で確認して掲載しています。
北(日立グローバルライフソリューションズ):私たちは洗濯機の洗浄力を向上させるため、構造や制御について考え、試行錯誤を繰り返しています。でも、汚れ落ちは洗濯機と洗剤の組み合わせが重要で、洗濯機だけでは限界があると感じていました。そんなときに、P&Gさんから今までにない「洗濯体験」をめざすべく、新発売の洗濯洗剤と組んで何かできませんか?と、お話をいただいたのがきっかけです。
北 慎勇希 (日立グローバルライフソリューションズ)
廣瀬(P&G):我々も同じ気持ちです。洗剤はそれだけでは効果は発揮せず、洗濯機で使用されることでようやく機能します。昨今では自動投入機能の普及により、洗剤や柔軟剤を入れる量やタイミングをコントロールできるようになったので、今まで以上に洗濯機との連携がポイントになります。私たちの製品が持つチカラを、洗濯機によってさらに引き上げてもらうことで、これまできれいに洗えなかったお客さまの悩みも解決できると考えていました。中でも、高濃度で洗う技術を採用しているナイアガラ洗浄など、洗浄力にこだわりのある日立さんとなら実現できるのではないかという確信がありました。
廣瀬 貴史 (P&Gイノベーション)
北:食べ物の油汚れは、運転時間を長くするか、温水にすることで、汚れを落とすことが可能になりますが、洗濯標準コースに対して運転時間が長くなったり、消費電力量が多くなったり、お客さまにとってのデメリットもあります。そのため、洗剤の洗浄力を効率よく引き出し、汚れを落としつつ、標準コースに、運転時間・消費電力をできる限り近づけることを目標にしました。P&Gさんとは月に1回、意見交換の場を設けていて、そんな中で話したアイデアなんです。
廣瀬:そうでしたね。お客さまが洗濯をして失敗したと感じるのは、汚れがまだ残っていたとき。特に、色の濃いものの食べこぼしの汚れは目に見えてわかるので、落としきれないと大きな不満を感じやすい。食べ物の油汚れを落とすことこそ、お客さまが洗剤や洗濯機にまず求めるものではないかと思ったんです。
北:はい。ターゲットを食べ物の油汚れに定め、アリエールMiRAiに合わせた高濃度洗浄の時間の適正化を図ることで問題が解決できると思い、制御の検討を進めました。そして、効果的な運転時間を突き止めることができました。
廣瀬:我々は単純に高濃度洗浄における時間を長くすることで比例的に洗浄効果が上がる、と考えていました。が、北さんをはじめとした開発チームの検証によって、アリエールMiRAiの洗浄力を引き出す洗浄時間を見つけていただいたんです!
油汚れに効果的な洗浄時間の検証を繰り返した。
廣瀬:たとえば、重いものはたくさんの人で持ち運びした方がいいですよね。洗濯に置き換えると、汚れに働く成分が多い方がいい。つまり、高濃度とは汚れに働きかける界面活性剤がたくさんある状態なので、繊維のしつこい汚れを持ち上げて取り除くチカラが強いということなんです。
北:うまいこと言いますね。日立の洗濯機は、洗い始めに水を少なめにして高濃度の洗剤液で洗う時間をつくっています。だから、洗剤の成分を高濃度な状態で、衣類などの汚れに直接働きかけることができる。洗剤の強みを活かすことができるんです!
アリエールMiRAiのチカラを引き出すための
挑戦が続いた。
北:その通りです!アリエールMiRAiに合わせて高濃度で洗浄する時間を適正化することで、標準コースよりもカレーの汚れが残らないところまで洗浄力を上げることができました。食べ物をこぼすことが多い小さいお子さまがいるご家庭におすすめですね。
廣瀬:苦労のかいもあり、弊社の複数の界面活性剤を配合したアリエールMiRAiの洗浄力をさらに引き上げていただくことに成功しました。このコースを使っていただいければ、幅広いお客さまに喜んでいただけると思っています。
※当社調べ。BD-SX130K、洗濯6kg時、標準コースとアリエールMiRAi高濃度洗浄コースの比較。衣類の量、汚れ、素材、一緒に洗濯するものの種類によって効果が異なります。
廣瀬:そうですね。洗剤の開発では、どういう成分を使って汚れを落とせるのかをメインに考えていました。洗濯機の自動投入機能を使えば、洗剤を効果的なタイミングで投入できるから、可能性がもっと増えるはずです。今回、ビッグドラムの高濃度洗浄が汚れ落ちに効果を発揮することを実感できましたから、これからもいろんなことにトライできたらいいですね!
北:お客さまがらくにきれいに洗濯できることをめざし、開発に取り組んでいます。でも、ご家庭によって使用条件も異なり、洗い方なども膨大な組み合わせがあるため、洗濯機だけでお客さまが抱える悩みをすべて解決するのは難しい。今回のように共同開発することで、ますます解決できる幅が広がります。今後も力を合わせていければ、うれしいです。