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Hitachi

日立の家電品エアコン

Story1 エアコンに、くらしを見つめる『目』を。まったく新しいイノベーションへの挑戦。 Story1 エアコンに、くらしを見つめる『目』を。まったく新しいイノベーションへの挑戦。

2011年、高まる節電意識の中でプロジェクトがスタート。

私たちがカメラによる『画像認識技術』に着目したのは2011年。その背景には、東日本大震災による節電意識の高まりがありました。エアコンにも、『快適性』や『エコロジー』に加え、高い『省エネ性』が要求されたのです。また、家族が集まる場所であるリビングもLDKが主流となり、“リビング、ダイニング、キッチン、さらに隣室まで快適に節電したい”というニーズも高まっていました。このニーズに応えるためには、数々のクリアすべき課題がありました。LDKは個室と異なり、いる方(在室者)の人数も、いる場所も、各々の動きも、リアルタイムに変化します。当社従来エアコンも、赤外線センサーを採用し、この変化を検知、温度や気流をコントロールしてきました。

一人ひとりをしっかり把握できる技術を求めて。

しかし、赤外線センサーの検知機能は完璧ではありません。赤外線センサーは検知可能なエリア内の“赤外線の変化量”に反応するため、変化量の小さい、つまり座っているような活動量の小さい方は、炊事や掃除などをしている活動量の大きな方の反応の影に隠れてしまうのです。その結果、エアコンは、在室者の動きは大きく、体感温度も高いと判断し、冷房時であれば、涼しい環境を維持しようとします。これでは動きの小さい方には冷え過ぎとなってしまう場合もあります。また、センサー技術は目に見えない部分が多いため、「機能や仕組みが分かりにくい」といった声もありました。日立グループの総合力を結集した開発プロジェクトは、このような時代の流れの中でスタートしたのです。

赤外線センサー(当社2012年度モデル RAS-S40B2冷房運転時) 赤外線センサー(当社2012年度モデル RAS-S40B2冷房運転時)

『画像処理技術』で、エアコンにくらしを見つめる目を。

グループのさまざまなセクションからメンバーが集まりました。[くらしカメラ]のコア技術を担う『画像処理チーム』もそのひとつでした。優れたアイディアは、自由闊達なディスカッションの中から生れます。“画像処理技術(カメラ)をエアコンに活かせないだろうか”という発想も、そこから生まれました。従来のセンサーでは、一人ひとりの状態を正確に把握することは困難です。しかし、カメラなら、人数や一人ひとりの動きを正確に把握することが可能です。また、日立グループの画像処理技術は、セキュリティやクルマの自動運転システムなど、数多くの領域で確かな実績と信頼を獲得しています。

いくつもの壁を乗り越えて生まれたオンリーワン技術。 いくつもの壁を乗り越えて生まれたオンリーワン技術。

“エアコンにくらしを見つめる目を“。その具現化の前には、いくつもの壁がありました。たとえば、一般的にLDKのキッチンはエアコンから遠い場所にありながら、調理時は熱がこもり、調理中の方の動きも大きい。その状況をカメラで把握し、キッチンへ優先的に気流を送るといった、きめ細いコントロールをどうやって実現するのか。そのためには、画像処理技術のみならず、狙った場所へピンポイントで気流を送るフラップの開発など、あらゆる部分に新しい工夫が必要でした。開発期間はわずか約1年半。失敗と成功を繰り返し、日立グループの技術の粋を集めて取り組んだ結果、2012年10月、ルームエアコンの世界に、カメラというオンリーワン技術を搭載した白くまくんが登場したのです。

[くらしカメラ]

お客様に、良さを分かっていただくために。

商品企画を担当する私にとって、最大の課題は画像処理技術を、いかに分かりやすくお客様に伝えるか、ということでした。ネーミングは『くらしをズバリ見ながら、高精度な快適性を提供するカメラ』=[くらしカメラ]と命名しました。メンバーとともに検討に検討を重ねて生まれた名前です。店頭でのPRにも、斬新なアイディアが必要でした。私たちは[くらしカメラ]が見ている映像をリアルタイムにモニターに映し出す、『ピクチャーモック』というPRツールを制作し、[くらしカメラ]の機能をPRしました。“エアコンがお客様を、いま、このように見ていますよ”ということを理屈ぬきに伝えようと考えたのです。『ピクチャーモック』は、技術を分かりやすく体験できる店頭PRツールとして、お客様に好評でした。

店頭PRツール「ピクチャーモック」

[くらしカメラ]が見ている映像をリアルタイムにモニターに映し出す。

[Profile] 木村士良

1991年、(株)日立家電入社以来、ルームエアコン一筋で営業・販促業務全般に携わる。
2016年現在、日立ジョンソンコントロールズ空調(株)国内商品企画部で国内の商品企画に従事。